物乞いの女の子「シヴァっ子」 @インド vs tae
2008年 08月 11日
インドで一発目に撮った写真。
後ろでおっさんがでっかい袋を頭に乗っけて歩いてるのもインドっぽい。
チェンナイ(旧マドラス)でインドに降り立ち、次に行ったのがマドゥライ。
マドゥライでのんびりと数日間過ごしてた間、いつも町で見た女の子。
4歳か5歳くらいかな?
物乞いです。
ちょっと離れた所にお母さんが見張っていて、「たかれ、たかれ。もっとたかれ」と煽っています。
いきなり後ろから腕をつかまれ、振り返った時に見た女の子の顔が真っ青で、首にボロボロだけど布製のリアルなコブラが巻きついてる。
右手を差し出し、「ラー、ラー、ラー」って言ってくる。
初めて見た時はギョッとした。
女の子のコスプレは「シヴァ神」
ヒンドゥーの3大神の一人で、インド人の中でもとっても人気がある。シヴァは全身が青く、コブラを遣え、インドではどんな所にもくまなく祀られている(シヴァ神そのものはもちろんシヴァのチ○コまで!『シヴァ・リンガ』という)。おでこの模様が「シヴァ派」を表している。
毎日、町をブラブラしてると、何もあげてないのに、シヴァっ子はtaeを覚えたのかいつもいつも走り寄ってくる。その度にtaeは邪険に追い払うのだけれど。
ある日、ヒマを持て余したtaeはインディアン・クレヨンをスーパーで買い、日記帳に絵を描いた。1枚目は、シヴァっ子の絵。
描き終えて、ノートを破り、町にそのシヴァっ子を捜しにいった。だいたい場所は決まっている。町の中でも電気街のような、ちょっとお金持ちが集まるような通り。いつもどおりシヴァっ子はtaeに走り寄ってきた。
腕にすがりついてラーラーする。
taeはシヴァっ子に絵を見せる。シヴァっ子はヒンディーで何か興奮気味にベラベラベラベラ喋ってる。
英語は通じないけれど、一応「写真を撮らせて」って頼んだ。その時の笑顔がこの写真。
もちろん写真を撮った後は、「写真撮らせたんだから、お金ちょうだい」ラーラーしてくる。
taeはスーパーでクレヨンと一緒に買ったミントの飴ちゃんを口の中に放り込んだ。
小さい女の子にはちょっとからいのだろう。一瞬顔をしかめたけれど、taeの顔にツバを飛ばしながら、また何か興奮気味にベラベラベラベラ喋ってる。
シヴァっ子にバイバイしたら、いつもはしつこくすがりついてくるのに珍しくすんなり離してくれた。
そして、シヴァっ子はtaeの姿を見てたかりにきた物乞い仲間に、絵を見せながらどこかに帰っていった。
仲間の女の子はその絵を取ろうとするけれど、シヴァっ子は必死に取られまいとしながら二人歩いて去っていく。砂埃の中のその後ろ姿をtaeは忘れない。
ある日の夕方、ぶらぶらしていると、ボロイ家と家の間の隙間にかすかな灯りと人影を感じてのぞいてみた。
申し訳程度のボロボロの布で「家」を作り、シヴァっ子とお母さんと妹が地べたに座って団欒している。この狭い隙間がこの子達の「家」なんだ。
小さな灯りが「マッチ売りの少女」の最後のマッチの灯りみたい。決して恵まれている訳でもなく、なんだか切ないのだけれど、ほんわかした幸せがあるような・・・(シヴァっ子達が幸せなのかそうでないのかはtaeには判断できない)。
シヴァっ子達は、死ぬまでこうやって生きていく。
シヴァっ子に子供が生まれても、その子供もそうやって生きていく。
ずっとずっと、その灯りが温かく光り続けますように・・・。
インドに行って、たくさんの子供の姿が一番印象に残っている。
このシヴァっ子も「今、どうしてるかな?」って思うその一人。